音楽好きなら行ってみたい逗子のジャズ喫茶【Sidewinder】
トランペットを模したロゴと「Jazz Coffee Pops」と書かれている看板が目印のジャズ喫茶「Sidewinder」。逗子7丁目のセブンイレブンが入っているビルの2階にあり、看板が気になっていた方もいるのでは。
私が音楽好きなこともあり一度は行ってみたかったので、「ジャズ喫茶は敷居が高そう…」という勝手な想像を払拭し、思いきって訪ねてみました。
迎えてくださったのは、店長の加藤晴雄さん。穏やかな雰囲気をまとった方でほっと一安心。「どうぞどうぞ」と店内に案内してもらいます。
目に飛び込んできたのは大きいスピーカーや精密なアンプなどの数々の音響機器。圧巻です。立ち尽くす私に「大きいスピーカーはALTEC(アルテック)。楽器系の曲はこちらで流します。その次に大きいスピーカーはJBL(ジェイビーエル)。こっちはボーカル系の曲をかけますね」と加藤さんが説明してくれます。
早く聴き分けしたいのはやまやまですが、Sidewinderさんで出されるコーヒーが美味しいと(なぜか)知っていたので、コーヒーを先に注文することに。
東逗子のスペシャルティコーヒー店「キリギリスコーヒー」の豆を使われていて、おすすめのシティローストをいただきました。一杯ずつ豆を挽き、丁寧にドリップ。良い香りが漂います。
ちなみにお代わりは半額です。長っ尻でもOKという心遣いが嬉しい。
加藤さんは元々機械設計のエンジニアでした。メーカーに勤務したのち、自ら事務所を立ち上げ独立。「50代後半になり、両親の介護もあったし、もうそろそろいいかなと思って」エンジニアの仕事から離れます。
「20歳前後からジャズをずっと聴いていて、いつかジャズ喫茶をしたいと憧れていたんです。リラックスできる場を作りたいなと」。お住まいは鎌倉の材木座。藤沢や鎌倉や逗子で物件を探していたところ、ちょうど今の一室に出会います。開放的な空間がお気に入りだそう。
加藤さんは管楽器が好きでマイルス・デイビスやジョン・コルトレーンのヘビーリスナー。愛聴盤はマイルスの代表作「Kind of Blue」。そういえば「Sidewinder」のロゴにトランペットが使われていたような…。
「普通ジャズって4ビートなんですけど、ロックの8ビートをジャズに取り入れた、リー・モーガンというトランぺッターがいて。ジャズロックというジャンルを作った元祖なんです。彼の『The Sidewinder』って曲が好きで。店で流す音楽はジャズだけでなくロックでもなんでもいいし、敷居が低い喫茶店ですよという意味を込めて、Sidewinderという店名にしたんです」。
なるほど、そういうわけだったんですね。なんかカッコいいなぁ。
2019年6月にオープンし、まもなく2年。お客さんは口コミを元に来店されたり、オーディオマニアの方が来られたり。逗子・葉山でお馴染みの「湘南ビーチFM」の影響もありジャズ好きの方が多いようですが、UKロックやプログレッシブロックのリクエストをしてもOKです。「聴きたいCDやLPを持って来られる方もいますし、僕が持っている楽曲をリストにしたものがあるので、そこから選んでいただくこともできます。基本的にお客さんの聴きたい曲をかける感じですね」。
音質が良いスピーカーで好きな曲を聴けるなんて幸せ…。こういう非日常、大事ですよね。
というわけで、お待ちかねの聴き比べをさせていただきます。まずはJBLから。小型な分、音はシャープでクリアとのこと。私が密かに持参したジャズボーカルの曲をかけてもらいます。
……臨場感がある…。あたかも目の前で歌っているかのような…。しばしぼーっと聴き惚れてしまいました。
お次はALTEC。大きいスピーカーなので、ベース音が効いているロックなどの迫力ある楽曲がぴったりとのこと。最近加藤さんが改めて聴いてハマっているという、サンタナバンドのライブ盤をリクエストしました。…お腹にベース音が響きます。音が広がってまるで店内がライブ会場のよう。
しかも音が反射しない素材を店内には使い、防音天井や防音絨毯を設置し、音楽を聴く環境もしっかり整えてあります。
ここに住んでずっと音楽を聴いていたいくらい。これは長っ尻にもなるはず。お客さんは平均で1時間半くらい滞在されるようです。長い方では4時間という強者も。その気持ち、わかります。
今は6人定員で営業中。
「敷居が低いジャズ喫茶なので気軽に来てください。美味しいコーヒーを飲みながらゆったりと過ごしてもらえれば」。はい、何回でも行かせてもらいます!
編集:地域魅力 松原